ラバ―ズΧクロス


「ほとんど毎日図書委員の仕事やってるよね?」


目をくしゃっとして笑った矢野君に、また胸が締め付けられる。



「そ、んなことないよ…。私、本が好きなだけだし。それだったら、矢野君も柔道部の主将だし…」


口ごもりながら答えていると、矢野君の頭が叩かれた。


「うわっ!?」



「こぉらっ!!何、葉月をいじめてんだよ、矢野!!」


「圭ちゃん!!」


叩かれた頭を押さえ、矢野君が圭ちゃんに抗議をする。


「いったいなぁ。俺、何もしてないよ!!ね、沢村さん」


話しかけられ、必死に首を縦に振る。


「ふぅ~ん…?」



それでも、圭ちゃんは不満そうだ。



「そんなに信用ないの?俺…」



矢野君がシュンと肩を落とした。



ひゃああっ!!

か、可愛い!!


状況と不似合いな感情を剥き出しの私の手を圭ちゃんが引いた。



< 3 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop