ラバ―ズΧクロス
「ほとんど毎日図書委員の仕事やってるよね?」
目をくしゃっとして笑った矢野君に、また胸が締め付けられる。
「そ、んなことないよ…。私、本が好きなだけだし。それだったら、矢野君も柔道部の主将だし…」
口ごもりながら答えていると、矢野君の頭が叩かれた。
「うわっ!?」
「こぉらっ!!何、葉月をいじめてんだよ、矢野!!」
「圭ちゃん!!」
叩かれた頭を押さえ、矢野君が圭ちゃんに抗議をする。
「いったいなぁ。俺、何もしてないよ!!ね、沢村さん」
話しかけられ、必死に首を縦に振る。
「ふぅ~ん…?」
それでも、圭ちゃんは不満そうだ。
「そんなに信用ないの?俺…」
矢野君がシュンと肩を落とした。
ひゃああっ!!
か、可愛い!!
状況と不似合いな感情を剥き出しの私の手を圭ちゃんが引いた。