ラバ―ズΧクロス
「ま、い―や。帰ろ?葉月」
「あ、待って圭ちゃん」
引きずられながら、矢野君にごめんねのジェスチャーを送る。
矢野君は、ニコニコと笑いながら、私と圭ちゃんを見送ってくれた。
「圭ちゃん、早い…」
「あ、ごめんごめん」
さも悪気のないように謝る圭ちゃんに、膨れっ面になる。
「もう、ごめんって思ってないでしょ?」
バレた?と舌を出す圭ちゃんに溜め息が出る。
「ま、い―じゃん?矢野といっぱい話せたんだし?」
「うっ…」
再び頬が赤く染まる。
「あははっ!!か―わいい!!」
「ちょっとからかわないで!!」
いくら刃向かっても、ポンポンと頭を撫でられて交わされる。
圭ちゃんこと河野圭子。
柔道部のエ―スで、背が高い。
サッパリしたショ―トの髪型と細長い手足が特徴的だ。
中性的なルックスから異性より同性によくモテる。
活発でサバサバした性格で、中身も外見も私とは正反対だ。