ラバ―ズΧクロス
不安そうにする私を見て、圭ちゃんが慌ててフォローを入れる。
「あ、大丈夫だよ。今あいつ誰とも付き合う気無いらしいから!!」
“今は”…。
少し複雑だけれど、とりあえず頷いた。
「で?どこが好きなの?あんな優男」
圭ちゃんの言い草にカチンとくる。
「そんな言い方ないでしょ?矢野君は本当に優しいんだから!!気配りも凄いし、誰とでも気兼ねなく話すし…」
途中で我に返って、俯く。
こんなに熱くなって …。
恥ずかしい…。
気まずくなってる私には気付かないのか、圭ちゃんは1人で唸ってる。
「まぁ、確かに『良い奴』だけどなぁ~…」
「なんでそこで、『良いな』とか『かっこいいな』とかに発展しないの?」
私の気持ちがさっぱり分からないという、圭ちゃんに呆れ顔になる。
矢野君は性格はもちろん、ルックスも良い。
柔道部っていうとどうしてもゴツいイメージがある。
けど、矢野君は細身でスタイルが良い。
顔が童顔だから、165cmくらいの身長も可愛く思える。