元モテ女とダサ男
〔ねぇ、そこのか~の~じょっ!!〕
ナンパ男は、こう声をかけてきた。
声をかけられたその道には、深緒しかおらず、
深緒は、振り返った。
深緒の眼前には、
耳にピアスをいくつもあけ、髪を銀色に染めたチャラそうな男が立っていた。
まわりは、薄暗く普通なら、その男のことを、恐怖の対象として見るが…
深緒は、そんな対象として見ていなかった。
深緒は、そのころから、もうすでに
合気道や、テコンドー、空手、柔道などの有段者になりうる腕前だったからだ。
ただ、喧嘩はしたことがなかったが。
深緒が最初その男を見て思ったことは、
なんだ、この男、今急いでるんだから、声かけないでよ!
そんな内容だった。
「なんですか?」
深緒は、一応そう言葉を発した。