ルーズ・ショット ―ラスト6ヶ月の群像―
メンバーが順番にマイクで最後の挨拶をし、アンコールを二曲やって、
フラワー・オブ・ライフの解散ライブは終わった。
羽月は泣いていた。
裕太も鼻をすすっていた。
サトシはいつも通り淡々としていたが、それでもさみしそうな顔をした。
洋二は、仏頂面だった。
四人がいなくなったステージに向かって、
メンバーの名前を呼ぶ声がしばらく響いていた。
ミツは、すぐに舞台袖に戻って、
ライブを終えたメンバーを撮らなければならない。
しかし、ミツは照明の落ちたステージを見つめていた。
観客が一人、また一人とミツの横をすり抜けて帰っていく。
薄暗くなったステージに、ドラムセットとキーボードと、アンプと、
スタンドマイクが残されている。
機材を片付け始めた林が寄ってきて、
「ミツ、機材は一旦おれの家に撤収でいいんだよな?」
と聞いた。
「ああ、うん。」
ミツは生返事をした。
「終わっちまったな。」
「うん・・・。」
「じゃあ、あとで打ち上げで。」
「・・・。」
ミツは録画停止の赤いレッグボタンを押して、カメラを下げた。
観客の誰もいなくなったフロアにミツ一人が佇む。
ミツは、いつまでもステージから目を離すことができない。
まだ、洋二が歌う姿が目に焼きついている。
耳の中に歌声が残っている。
洋二が輝いていたステージが、黒く沈んでいる。
フラワー・オブ・ライフの解散ライブは終わった。
羽月は泣いていた。
裕太も鼻をすすっていた。
サトシはいつも通り淡々としていたが、それでもさみしそうな顔をした。
洋二は、仏頂面だった。
四人がいなくなったステージに向かって、
メンバーの名前を呼ぶ声がしばらく響いていた。
ミツは、すぐに舞台袖に戻って、
ライブを終えたメンバーを撮らなければならない。
しかし、ミツは照明の落ちたステージを見つめていた。
観客が一人、また一人とミツの横をすり抜けて帰っていく。
薄暗くなったステージに、ドラムセットとキーボードと、アンプと、
スタンドマイクが残されている。
機材を片付け始めた林が寄ってきて、
「ミツ、機材は一旦おれの家に撤収でいいんだよな?」
と聞いた。
「ああ、うん。」
ミツは生返事をした。
「終わっちまったな。」
「うん・・・。」
「じゃあ、あとで打ち上げで。」
「・・・。」
ミツは録画停止の赤いレッグボタンを押して、カメラを下げた。
観客の誰もいなくなったフロアにミツ一人が佇む。
ミツは、いつまでもステージから目を離すことができない。
まだ、洋二が歌う姿が目に焼きついている。
耳の中に歌声が残っている。
洋二が輝いていたステージが、黒く沈んでいる。