ルーズ・ショット ―ラスト6ヶ月の群像―
レミはファッション関係で就職が決まらなければ
ショップで働くと言っていた。

この場合はこう、こうなった時はこう、とシュミレーションに余念がない。
レミと知り合った時、
ミツの世界はとっくに遠くに行ってしまっていたから、
何でもテキパキと決めていってくれるレミと一緒にいることが
ミツはらくだった。

ミツの周りでレミがくるくる動いていると、
現実感が沸くというか、時間が動いているんだなあと思い出す。

携帯をベッドの近くの充電器とつなげる。
ピピっと電子音が鳴って赤いランプがつく。
テレビの中ではさっきと同じようなやり取りが繰り返されている。

「もう、おまえらそんなやったら全然正解出えへんぞ!」
「おれらまじめにやってますやんかぁ!」
ギギギーン、ギーン
 
バンドマンのギター個人練習も続いている。

明日はレミが来る。
学校は朝からある。
でも起きられる自信がない。
あと何回休んだら卒業できなくなるんだろう。

そこまで考えてミツは寝転がった。
卒業できたら何があるんだろう。
卒業できなきゃまた、毎日学校に通うだけだ。
でもそれはない。
親もレミも怒り狂う。

でも、卒業した後の自分は、全然想像つかない。
耳障りなギターの音を聞きながら、
ぼんやりテレビを見ているあいだにミツは寝てしまった。
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