ルーズ・ショット ―ラスト6ヶ月の群像―
その後

1

 終わりだけが いつもある
 でも 笑い飛ばし合いたいんだ
 情けない話を 聞かせて欲しい


四月。
ミツは守屋の制作会社でADとしてバイトをするようになっていた。
最初に挨拶をした以来、守屋と話すこともなかった。
遠くから忙しそうに話しながら早足で歩く守屋を見かけた。
それでも、数回に一度、ミツに気づいた守屋は色黒の顔に白い歯を見せ、
片手をあげた。

朝から朝まで働く日々。
風呂と着替えのためだけにボロアパートのドアをくぐった。
毎日が倍速で過ぎていくようだった。

ボロアパートの外階段を上る時、洋二の部屋の郵便受けを見てしまう。
その時だけ一瞬、ミツは脳がふっととろける感覚を味わった。

徹夜に近い日々が続いたが、ミツはだいぶ慣れていた。
体にまかせて脳は眠っているようだった。

時々、守屋の言葉を思い出したが、深く考えるには肉体が疲れすぎていた。
マッキントッシュの電源も、もう随分入れていない。
電気もつけずに部屋に入ってリュックをおろしたミツは、
そのまま靴下も脱がずに、布団に潜り込んでしまった。
水滴がシンクを打つ音さえも、数える間もなく眠りに落ちる。

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