拉致って☆監禁♪~白銀王子と猫耳錬金術師の甘い部屋~
「なるほど、我らイデアーレ王国の人間は、魔大陸の住人らしく。
異界の扉を開けば、一瞬にして、すべてを焼き尽くす『炎神』を召喚する者や、『風』を起こす『風神』を召喚する者。
その他、もっと複雑な魔法を扱える者も居るのにも関わらず。
『水』を扱う『雨神』の扉を開ける人間は、居ない。
だから『雨』を降らせる者の不在で、数年に一度は必ず、深刻な飢饉がおこるのだ」
言って、キアーロはぎり、と唇を噛んだ。
「クストーデ全土に、餓死者の山を築くのが、嫌なら。
雨神の扉を開くために、イデアーレ王国で最も美しく、高貴な者をリベルタ国に生贄として捧げよ、だと?
ふざけるな!
リベルタの魔法は、異界の扉を自力で開けることさえできず。
『錬金術』などと称して、生贄を使い。
怪しげな物質を調合して無理やり扉を開くのだ。
しかも、海外の魔術とは無縁の人間に。
僕たちにも出来無い飛行術や、身体を変化させるような貴重な魔法の技を、僅かな金で売る愚かな民だ!
そんなリベルタに『雨神に繋がる扉を開くため』と称し!
何人の王家に関わる美女が生贄になったと思ってるのだ!
しかも、今年は。
フィオーレが選ばれるなんて!!!」
瞳に揺れる、感情の波を隠そうとしないまま。
キアーロは、拳を握った。