拉致って☆監禁♪~白銀王子と猫耳錬金術師の甘い部屋~

 万が一。

 首尾良く、フィオーレを連れて城から逃げ出せたとしても、彼女を隠しておける場所さえ無いのだ。

 いつ終わるか判らない逃亡生活を、人目のつかないところで送るのが無理なことは、誰の目にも明らかだった。

 だから、キアーロは怒りに狂った声を低く出したのだ。

「フィオーレを汚してしまえば、良いんだ」

「……え?」

「花嫁になる女は、その血統を守るため、処女が決まりだ。
 前夫がいた場合や、新郎ではない、他の男に愛された場合は三百日たたないと正式な『妻』とは、なれない。
 それは、王族、王妃にも適応されるのが、我が国の法だ。
 フィオーレが『我が国で最も高貴な女』になるためには王と正式に結婚をしなければならないのなら。
 ……王との結婚式の前に、僕が彼女を抱いてしまえばいい」

 そうすれば、フィオーレの結婚は最低でも三百は日伸び……引いては、それだけ生贄になる期間を延ばすことが出来る。

 上手くすると、王は。

 処女を失い、汚れたフィオーレを王妃として使うことを諦めるかもしれない。

 抵抗する彼女を、キアーロが無理に犯したことにすれば。

 罪は全て自分が被ることになる代わり。

 彼女の不義の罪は、そう重くならないだろう、と王子はマウロに言った。

 そして、熱い心をも凍らせるような。

 氷のような微笑を見せたのだ。
 
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