拉致って☆監禁♪~白銀王子と猫耳錬金術師の甘い部屋~
 王子の決意は、本物だった。

 けれども、無駄を承知で、マウロは声を出した。

「おやめください!
 そんなやり方は、不名誉な上に、何の意味もない!
 例え、キアーロ様が、フィオーレ様を汚して三百日生き延びたとしても、その先は?
 それに、フィオーレ様が、生贄から外れたとしても、雨神の扉は他の誰かが開けなくてはなりません!
 生贄を出すのがお嫌なら、イデアーレが、丸ごと滅びます!
 次代に民を守るべき王、となるはずの貴方が、知り合いだけを優遇して私情に走り、国を危うくさせるのですか……?」

「うるさい!」

 侍従長の、もっともな意見に、キアーロは、低く唸った。

「……僕は、別に『王子』になんて、生まれて来たくなかった。
 伝統と格式ばかりが高くて、新しい未来を模索せず。
 国の一大事を生贄だけに背負わせて、生き延び続ける腐った国など、僕は要らない」

「キアーロ様!
 なんて事を言うのです!」

 マウロは青ざめ。

 キアーロの飼い猫でさえ、まるで、人間の言葉が判るかのように、不機嫌に、鳴いたけれども。

 王子は冷たくほほ笑んだ。
 
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