拉致って☆監禁♪~白銀王子と猫耳錬金術師の甘い部屋~
 キアーロは、そんなドーニが好きで、五つ離れた年長の彼を、こっそり兄とも慕っていたし。

 ドーニの方も、キアーロを気に入って。

 国一番、とも噂される剣術を、師匠に教わった秘伝の分まで、丸ごと。

 まるで、子供の遊びの延長のように、楽しげにキアーロに教えてくれていた。

 だから、キアーロとしては。

 ドーニさえ望めば。

 多分、次代の王となるはずの、自分の近衛隊隊長に、ドーニを指名したかったし。

 指名のことは、ドーニにも、はっきり伝えていたのに。

 ドーニは、高い身分を嫌がり、一介の兵で一生を終えるのだ、とキアーロの誘いを笑って断っていた。

 それなのに。

 つい、先日。

 確かに愛していたはずの、婚約者である、フィオーレを、キアーロの叔父である王から、望まれるまま。

 あっさりと献上して、その代わり。

 国で、一、二を誇る数の兵の指揮を執り。

 近衛隊隊長に勝るとも劣らない高い身分の将軍に、就任してしまったのだ。

 そのドーニの信じられない行動が、キアーロの混乱と。

 ……激怒を増す結果となったのだ。
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