拉致って☆監禁♪~白銀王子と猫耳錬金術師の甘い部屋~
 ドーニのしたことは。

 端から見れば『国を救うため』に愛しい花嫁を差し出した悲しくも、美しい行為。

 ……に、見えるかもしれなかったが、キアーロにとっては、一番信頼していた人間からの裏切り行為に他ならなかった。

 楽しかった子供時代の思い出を、丸々踏みにじられた気分に、心が張り裂けそうだったのだ。

 だけれども、そんな。

『君主』としては、幼すぎる感情を周囲に、吐露することが、叶うはずもなく。

 こんな、自分の存在意義を否定する、王位継承権を賭けてまでのこの暴挙は。

 本気でフィオーレを愛した、と言うよりも。

 ドーニと、国からフィオーレを奪うのが、目的だったのだ。

 だから。

 キアーロに、フィオーレを気遣う余裕など微塵も無く。

 その白い肌に次々と自分の所有のしるしをつけて行ったのだ。

 首に……胸に。

 キアーロが口づけるたびに、白い肌には紅い花びらが咲き乱れ。

 フィオーレの可憐な唇から押し殺した喘ぎ声が漏れる。

 無理やり抱きしめられた王子の強い手から逃れようと、しなやかにのけぞった彼女は。

 まるで、翼の折られた小鳥だった。

 引き裂かれた夜着が、翼のように、力なく垂れ下がり、与えられた快楽に、ただ鳴いた。




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