拉致って☆監禁♪~白銀王子と猫耳錬金術師の甘い部屋~
火急の連絡を受け、キアーロの暴挙を知った王が、自ら。
近衛の兵士を率いて花嫁の部屋に押し入った時には、既に遅く。
彼の妃になるはずの娘が、豪奢な絨毯の上に、意識を失い、横たわっているのを王は、見た。
フィオーレに、大きな怪我は無いようだった。
……しかし。
彼女の引き裂かれた夜着と、そこから垣間見える肌に咲く、淫らな花のような口づけの跡。
そして。
まるで、皮袋(かわぶくろ)の中に入れた血を、彼女の下着にぶちまけたような、惨状に。
キアーロの叔父でもある、この国の支配者の顔が歪んだ。
「……そなたは、何を、したのだ」
低い。
まるで、獣の唸り声のような、王の声は、彼の臣下を恐怖に落とすには十分だったけれども。
王家の血を誰よりも濃く継ぎ。
年若いことを理由に、戴冠(たいかん)をしていないだけで、実は。
現王よりも血筋的には身分の高いキアーロにとっては、如何ほどのことでもなかった。
自らの着衣に乱れがあったとしても……なかったとしても。
端からでは判らない、全身を覆う長いマントの裾を見事にさばいて、キアーロは、優雅に立ち上がった。