拉致って☆監禁♪~白銀王子と猫耳錬金術師の甘い部屋~
この暗い牢獄から、釈放される日が。
明日来るのか、永遠に来ないのかも判らないまま。
ただ、規則的に落ちる水滴だけが、キアーロにとって無意味な時を刻む。
痛みに気を失っては、目を覚ます、を繰り返す王子に、彼の精神は、苦痛から一時でも免れ正気を保つために、過去の夢を次々と見せていた。
そんな王子に、水滴が、こちらが現実だと冷酷に教えてくれるまで。
毎日毎日、痛みに呻き、あがく。
ただ喘いで、呼吸するだけの生に何の意味もなく。
今日もキアーロ王子は、夢を見る。
そんな彼は、きっと。
誰からも顧みられないまま、一人。
牢獄の底で、静かに朽ち果てるはずだった。
……そのはず、だった。