拉致って☆監禁♪~白銀王子と猫耳錬金術師の甘い部屋~
「……何を大げさな。
 幼なじみに、ただ挨拶をしに行くだけだ」

「確かに、フィオーレ様は、キアーロ様の幼なじみでありましょうが!
 それこそ、もう、あなたは幼いお子様では、ありません!」

 キアーロの言葉に、マウロは必死に首を振った。

「明日フィオーレ様におかれましては、あなたのお義父上、イデアーレ王陛下との婚儀が執り行われます。
 ……義理とは言え、あなたの母になられる方なのですよ!
 今、この時間に女性の部屋にご訪問となれば、不義密通の疑いをかけられても、言い逃れは出来ない以上。
 王妃候補を寝盗ったとなれば、それは噂でも罪になり、貴族でさえも、死刑です!
 例え前王の直系ので、現王を含めた王家一族、唯一の子供であるあなたでさえ、王位継承権を剥奪された上。
 国外に追放されてもおかしくは無いのですよ!」

「王位継承権の剥奪?
 国外追放?
 だから何だ、というのだ。
 我がイデアーレ王国は、そう、魅力的な国ではない」

 心配そうなマウロに、キアーロは、吐き捨てるように言葉を返した。

「クストーデ大陸にすむ民は、我がイデアーレ王国の者も隣国リベルタの者も、世界で唯一、異界の扉を開いて『魔神』を召喚、使役し『魔法』を扱うことが出来る。
 しかし、海外から『魔の大陸』だと恐れられるクストーデの現状を見ろ!
 ほとんど雨の降らぬ、乾燥し、痩せた土地が広がる、ただの荒野ではないか!」

「キアーロ様……!」

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