メロンパンにさようなら
その言葉で、いつから居たのか簡単に理解できた。彼は、私達が来た時からここにいて、話を聞いていたんだって。


「ほらっ」

出てきたミルクティをこちらに投げ、何事もなかったような態度で、ジュースを飲み始めている彼に、


「聞いていたんですか?」

と、責めるような言葉を投げ掛けてしまう。


「人聞きの悪い言い方すんな。聞いていたんじゃなくて、聞こえたんだよ」

「そうですか」

「あぁ」





「じゃあっ!」

あの噂のことも?


と言いそうになって、口をつぐんだ。


聞いちゃいけないことだから。
こんなこと、興味本位で聞くことじゃないから。



高見翔は、私が何を言い出そうとしたのか、分かってたんだね。


先ほどのいたずらっ子の顔から、急に真面目な顔つきになり、聞いてきたんだ。



「聞かねぇの?跳ばない理由」


と。
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