メロンパンにさようなら

元カノ



「あっ、そういえば、青野先輩でしたっけ?あの伝言聞いてました?」


3月初めの放課後の天文部の教室で、新入生勧誘の為に、模造紙に紹介文を下書きしながら、私の隣に座って紙に落書きをしている高見翔に話しかけた。



「青野?」

「そう。陸上部の」



先日、青野ミツルに呼び出された時に、彼への伝言を頼まれていたんだ。

まぁ、あの時の会話は全部聞いていたみたいだから、私から改めて伝えなくてもいいとは思うんだけど。ちゃんと伝わっているか確認しとこうと思って。


「あぁ〜、アイツってさ、熱いよな」

「へ?」

熱い?


一瞬、何のことか分からなかったけれど、青野ミツルとの会話を思い出しながら、何が“熱い”のか考えてみると、思い当たるのは、彼の性格。


ライバル視している高見翔を心配して、そして、あんな伝言残す彼は、確かに、“熱い男”なのかもしれない。


彼が校舎に戻った後、突然売店の影から、高見翔が出てくるんだもん。びっくりしたよ。


ふっと、あの時のことを思い出して、笑みが零れた。
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