メロンパンにさようなら


「ほら、高見も手伝え」


部長の言葉に、渋々ながらも腰を上げ、部長と一緒に教室の奥の準備室へと行った高見翔の背中を眺めていた。



「いいとこだったのにね」

「はぁ!?」

直ぐ傍でニヤニヤしながら囁いた愛を一睨みし、


「そんなんじゃないよ」

と言いながら、下書きを再開した。


私の睨みなんて何とも思っていない愛は、下書きしている私の隣に来て、手を動かしながら話しかけてきた。


「あれって、高見先輩のヤキモチでしょ」

「はぁ!?」

また突然可笑しなことを言うから、驚きの余りに、間抜けな言葉が出てしまう。


「もう、そればっかり」

「ごめん」

だって、愛が可笑しな事を言うからじゃない。

何が“ヤキモチ”なのよ。さっぱり意味が分かんないんだけど。


悶々と考えていると、愛が私の心を読み取ったのか、


「ったく、佳奈は鈍いんだから」

と言いながら話してくれた。
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