メロンパンにさようなら
“ギィ……”
錆付いた屋上の扉を、音を立てて開けると、部長が言ったように、高見翔が、フェンス越しに遠くを眺めるように立っていた。
“ガシャンッ”
扉が閉まる音に気付いて、こちらを見た彼と目が合う。
なんて声をかけたらいいんだろう。
1人にしてほしかったのに
って思ってるかな。
こうやって来てしまったけれど、やっぱり来るべきじゃなかったんじゃないかな。
考えることは、そんなことばかり。
扉の前で突っ立ったまま近付けなくて、ただ、絡み合った視線を外せないでいた。
「かくれんぼ、得意だったんだけどな」
小さく呟いた彼の声は、風と共に聞こえてきた。
「え?」
「見付かったな」
そう言って、ふっと笑ってフェンスに背中をもたれ掛けた。