メロンパンにさようなら
「なぁ、メロン」
「はい」
「ありがとな」
ぽつりと呟かれたその言葉に、
「え?」
と、思わず彼を見た。
その“ありがとう”にどんな意味が込められているの?
何に対してのありがとうなの?
屋上に来たことのお礼?
それとも、他に何かあるの?
見つめても、答えなんて見つかるはずなんてなくて、これ以上、答えようともしない彼は、う〜んっと、大きく両腕を空へと伸ばし背伸びをした後、
「戻るか」
と、こっちを見て、そう言った。
「そうですね」
ねぇ、先輩。
あなたが
また、かくれんぼしたら、
私は、また、あなたを見つけに行きます。
何度でも、何度でも、
必ず見つけますから。
先を行く、あなたの背中にそう誓ったんだ。