メロンパンにさようなら



「今日、部活行くの?」


次の日、放課後の教室で、図書館で借りてきた図鑑を持って部活に顔を出そうとしていた私を、愛が呼び止めた。



「うん。あっ、愛はバイトだったっけ?そっか、1人だから寂しがると思った?」

「いや、それはないんだけど、昨日の今日だよ?止めといたら?」



昨日、あの彼女が来たことを気にしてるんだって分かった。

また、今日も来たら、高見翔とまた何かあるかもしれないから。

それを気にして忠告してくれているんだって分かったけれど、だからといって、部活を休みたくはない。


「昨日は昨日。今日は今日だよ」


なんて、尤もらしい言葉を言ってみたけれど、愛は心配なんだろう。


「今日も、あの人来るかもしれないでしょ」

「彼女が来たって、」

“別に何ともないよ”なんて言おうとしたのに、


「佳奈、あの人、誰か知ってるの?」

そう言われて、愛を見つめると、“いい?よく聞いて”と、真剣な顔をした。

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