メロンパンにさようなら
「出来た!」
そう叫んだ時には、愛は既にお弁当の1/3を食べ終わっていた。
「お疲れ」
愛の声を聞きながら、お弁当箱を鞄から取り出そうと、手探りで鞄の中をごそごそしていて気が付いた。
「あっ!」
「何?」
突然私が大きな声を出したから、愛が一瞬ビクッと肩を震わせた。
今日、お弁当なかったんだった。
いつも、お弁当は私が作っている。
作ると言っても、母親が作ってくれたおかずをお弁当箱に詰めるだけなんだけど。
今朝は寒さのあまり、布団の中が気持ちよくて、母も私も寝坊したのだ。
「食堂行ってきます」
仕方ない。
食堂でパンでも買ってこよう。
「あれ?珍しい」
「うん、ちょっと寝坊して。パン買ってくるね」
「いってらっしゃい」
「行ってきます」