メロンパンにさようなら

対決


「で?さっきから吐いているその重い溜め息の原因って、高見?」


部活に顔を出しているのは今日は、部長と私だけで、図鑑に目を通しながら無意識のうちに、何度か溜め息を吐いていたらしい。


部長は、いつもストレートで物を言ってくる。

触れてほしくない部分も、こうやって“どうした?”とかオブラートに優しく包む感じじゃなくて、核心に触れてくる。


そこが、部長のいいところでもあるんだけど、今はそっとしておいてほしかった。


「“重い”じゃなくて、深い溜め息ですよね」

使い方、間違ってません?なんて、話をはぐらかそうとしたら、


「植草の場合は、“重い”んだよ。抱えているもの全部が重い」

違うか?

そう言われて、思わず部長の方を見た。



「何も、……抱えてなんてないです」


抱えているのは、高見翔。

1人で全部抱えこんでいるのは、あの人。


何にも持たせてはくれない。
大丈夫だって言うように、無理して笑って、我慢してるのはあの人。

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