メロンパンにさようなら

「あなたが、植草佳奈さん?」


そう言って、上から下まで舐めるように見られて、まるでバカにしたように、ふっと鼻で笑われた。


「そうですけど」

その態度が妙にムカついて思わず、強気で言ってしまった。


「翔と付き合ってるって聞いたけど、嘘よね?」

“こんな子が高見翔の相手なわけないじゃない”


そんな言葉が隠れているように、馬鹿にしたように言った彼女の言葉に言い返せない自分が悔しくなる。



彼女が言ってることは本当のことだから。
私は、高見翔とは付き合ってないんだから。



「翔のタイプは、こんなんじゃないもん。もっと美人で綺麗な子しか相手にしないの」


一方的に話してくる彼女の言葉に吐き気さえしてくる。

彼女の口から“翔”って言葉を聞く度、胸のざわつきが隠せない。



「翔にあなたは似合わない。翔には、」

「小室っ!いい加減にしろよ」



何も言えずに黙っていることしか出来ない私を見兼ねたのか、部長が彼女の言葉を遮るように、口を挟んだ。

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