メロンパンにさようなら
「そんなこと、あなたに関係ないことですよね。
私が先輩のこと好きでも嫌いでも、小室先輩には関係ないっ」
「好きだったら、なんで陸上に戻るように言わないのっ!」
言葉を遮るように、小室由紀は、責めるようにこう言った。
「なんで、ずっと陸上休ませてんの?一緒にいるんだったら、なんで跳んでくれって言わないの!」
彼女が高見翔のこと心配しているんだって分かる。
分かるけど、それは彼自身を心配している言葉なの?それはただ、選手として心配しているだけなんじゃないの?
そう思ったら、自然と言葉が零れていた。
「なんで……なんで、そんなこと言われなきゃいけないんですか」
「え?」
「頑張って、頑張って、必死になって頑張ってる人にこれ以上頑張れなんて、なんで言えるんですか。
跳べない人に、それでも跳べって、なんで言えるんですか。
先輩は苦しんでいるんです。跳べなくて苦しんでいるのに、それなのに、なんで跳べって言わなきゃいけないんですか。私には言えません」