メロンパンにさようなら
「……何が分かるの」
彼女は低い声でそう言って私を睨み付けた。
「え……?」
「あんたに何が分かるのよっ!翔のことも、陸上のことも何も知らないあんたに何が分かるのよ。
練習休んだら、勘を取り戻すのにどれだけ時間がかかるか分かる?
真面目にやってきた人に追い付く為、どれだけ頑張らなきゃいけないか分かる?
4月末には、もう大会があるの。翔にとって最後の大会なの。それに勝たないとインターハイには行けないの。なのに、今休んでてどうすんのよ。時間がないのっ」
「……」
「あんたに翔の何が分かるって言うのよ。何を知ってるって言うの?ケー番、アドレス、住所?好きなもの、好きな音楽?
あんたなんかより、私の方が知ってるわよっ!」
「……」
「少し一緒にいるからって、翔のこと一番知ってるみたいに言わないでっ」