メロンパンにさようなら


何も言い返せないのは、彼女の言ってることが、全部当たっているから。


陸上のことも何も知らず、休んでいいって言ってしまったから。

本当は、そんなこと言うべき言葉じゃなかったの?



「あんたは、」

「もういいだろ」



彼女がまだ何か言おうとした時、口を挟んだのは浅川部長だった。


「そうやって、こいつを責めんな。高見が休んでいるのは、こいつの所為じゃねぇ。陸上を休むって決めたのは高見自身だ。植草を責めるのは間違ってる」

「ちがっ」

「こいつはっ!
少なくともお前より高見のこと分かってるよ。高見自身を見てるのは、お前じゃなくて植草の方だ。高見が一緒にいるってことは、そういうことだ。分かったら帰れ。部活の邪魔だ」



部長がそう言うと、彼女はぐっとこっちを睨み付け、何かまだ言いたい事があるような顔をしていたけれど、地学室を出て行った。

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