メロンパンにさようなら
聞きたいけど、聞けない。怖くて、逃げたくなるから。

それに、高見翔の連絡先なんて知らないんだ。

ケー番もアドレスも、住所さえも知らないんだ。


彼女とは違う。
私は、高見翔のこと、何にも知らない。


「はぁ〜」

“ドスンッ”


溜め息を零したと同じタイミングで、目の前に、分厚い図鑑を何冊も置かれた。

何?これ…


「これ、調べて」

そう言って部長が渡したのは、一枚のレポート用紙。


そこには、“星の誕生について”や、“惑星について”“星座について”等、大量の項目が書いてあった。



「な、何なんですか、これ」

新手のいじめ?

これ、一人で全部調べろなんて出来るわけないじゃない。

恨めしげに、部長を見ると


「いいから調べろ。頭使って何かしてたら、余計なこと考えなくて済むだろ」


準備室から大量の図鑑を運びながら、さらりとそう言った。

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