メロンパンにさようなら




「小室さ、……高見と付き合う前、アイツの親友と付き合ってたんだ」





驚きのあまり、声さえも出なかった。


うまく息も出来なくて、慌てて新鮮な空気を吸うために大きく深呼吸をしながらも、頭の中では、部長の言葉がこだましている。



なんで……

なんで、高見翔は親友の彼女と付き合うことになったの?

なんで、そんなことできるの?


なんでって思うことが大きいのは、私の知っている彼からは想像出来ないから。



我が儘で俺様な奴だけど、親友の彼女をとるようなことはしないって、そう思っているから。


それとも、彼女が心変わりしただけなの?





どれだけ1人で考えていただろう。

多分時間にすれば、ごく数秒だったと思うけれど、すごく長く感じた。



近くの木の枝に留まっている鳥のさえずりが聞こえてきた時、部長がまた話し始めた。
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