メロンパンにさようなら
「アイツは休んでなんかねぇよ。毎日こうやって走ってる。
ハイジャンするのに、誰かに背中押してもらうのを待ってんじゃねぇかな」
その誰かに、私は、なれますか?
彼の背中を押してあげることは出来ますか?
「アイツから逃げんな」
部長の言葉は、重いけれど温かい。
今、自分が出来ることは彼ときちんと向き合うこと。
逃げないこと。
「あの……」
その前に、部長に聞いておきたいことがあるんだ。
「ん?」
「部長は、知ってるんですか?高見先輩が、跳ばなくなった本当の理由」
きっと、部長なら全て知ってるんだって思う。
彼をずっと見てきた部長だから。
だからこそ、本当の理由を知りたかった。
小室先輩が原因とか、そんな噂じゃなくて、本当の理由を。