メロンパンにさようなら
「メロン?」
優しく呼ばれて、思わず胸がドキドキと速く音を立てた。
びっくりしたからってのもある。
だけど、それだけじゃない。
いつもより、優しい口調で“メロン”なんて呼ぶから
距離が余りにも近いから
好き、だから
だから、ドキドキと高鳴る鼓動を落ち着かせようと、大きく息を吸ってみても、速く波打つ鼓動を落ち着かせることなんて、出来ないんだ。
「飲む?」
彼の吸い込まれそうな瞳から視線を逸らし、鞄から少し顔を出している、部長からもらったペットボトルのお茶を思わず差し出した。
話題を変えるため?
それもあるけれど、今の胸の高鳴りを落ち着かせるためにとった、咄嗟の行動だった。