メロンパンにさようなら

「メロン?」


優しく呼ばれて、思わず胸がドキドキと速く音を立てた。


びっくりしたからってのもある。


だけど、それだけじゃない。


いつもより、優しい口調で“メロン”なんて呼ぶから

距離が余りにも近いから



好き、だから




だから、ドキドキと高鳴る鼓動を落ち着かせようと、大きく息を吸ってみても、速く波打つ鼓動を落ち着かせることなんて、出来ないんだ。






「飲む?」


彼の吸い込まれそうな瞳から視線を逸らし、鞄から少し顔を出している、部長からもらったペットボトルのお茶を思わず差し出した。



話題を変えるため?


それもあるけれど、今の胸の高鳴りを落ち着かせるためにとった、咄嗟の行動だった。
< 167 / 217 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop