メロンパンにさようなら
「ん? あぁ」
少しだけ驚いたような顔をしたけれど、ペットボトルを受け取った高見翔は、蓋を開け、ゴクゴクッと喉を鳴らしながら、それを口に運んだ。
どれだけの距離を走っていたのか知らないけれど、走った後で喉が乾いていたんだろう。
一気飲みするんじゃないかってくらいの勢いで、お茶はなくなっていく。
ぼんやりと、彼がお茶を飲んでいる姿を見ていた。
お茶を飲む度に震える喉仏が、いやに彼が男であることを意識させられる。
こんなことでドキドキしている私は、どうかしているんだろうか。
そう思うと、何故か恥ずかしくなって、彼を意識すればするほど、顔が赤くなっていき、思わず、彼から視線を外し、少し先にある池を眺めた。