メロンパンにさようなら
そんな私の変化に気付いたのか、ペットボトルから口を外した彼は、


「サンキュ」


と言ってそれを返すと、ニヤリと悪戯っぽい笑顔を見せた。



「何、顔赤くしてんだよ」

「べっ、別にっ」


彼にバレていたのが恥ずかしくて、思いっきり動揺しながら返事をした。


「ふ〜ん。間接キスとか考えてたのかと思った」


なんて、さらりと言う彼の言葉に、思わず彼を凝視した。



そんなこと、言われて初めて気付いたんだけど。


そもそも、私は、まだ一度もペットボトルに口をつけていないから、そんなことあるわけないんだけど。



そんなどうでもいい言い訳が頭をぐるぐる駆け巡る。


そんなこと、今、この場で言ったところで、どうでもいいんだけど。



なんでって、今、何に動揺しているのかって聞かれたら、彼の口から“キス”って言葉が出たことだから。
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