メロンパンにさようなら

嘘じゃない。

部長が『気分転換にいいとこ連れて行ってやろう』って言って、連れてこられたこの公園。



それは、ただの気分転換じゃなくて、部長の優しさ。


こうやって、ジョギングしている高見翔の姿を見せる為。

高見翔の過去を少しだけ教える為。

高見翔と向き合う勇気を出させる為。




「えっと……」


どこからどう話せばいいんだろう。



“今日、部活中に小室先輩が来たんです”

と、いきなり切り出していいんだろうか。



考えれば考えるほど、言葉が出てこなくて、俯いてしまった私に、


「気分転換であるはずの部活の気分転換って。何があった?」



高見翔の優しい言葉が降ってきて、その言葉に顔を上げると、優しい眼差しでこっちを見ている彼の顔があった。
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