メロンパンにさようなら
「俺が跳ばないのは、アイツが原因なんかじゃねぇよ。ただの怪我」
暗くなった池を眺めながら、彼はポツリポツリと話し始めた。
「“有痛性外脛骨”って知ってる?それ」
初めて聞いたその病名を頭の中で反芻しながら、彼の話に耳を傾けた。
「俺がさ、ハイジャン始めたのは、中学に入ってからでさ、すっげ〜面白くてさ、毎日毎日飽きもせずに跳んでた。
けどさ、高校入って怖くなっちまった」
「うん……」
「高校入ってから、じゃねぇかな。アイツと付き合ってから、か」
えっ……?
それは、どういうことですか?
小室先輩と付き合ってから跳ぶのが怖くなったのは、なんでなの?