メロンパンにさようなら
「アイツはさ、俺のどこを好きになったかなんて単純でさ。ただ、中3の県大会で俺が優勝したからなんだよな。
“一番”ってことが、アイツの中での俺を好きな理由。
だからさ、なんだろ、アイツと一緒にいることがいつからかプレッシャーになってたんだよな」
「……」
「俺、プレッシャーに弱かったみたい。“一番じゃなければ”って思えば思うほど跳べなくなっていってさ。
情けねぇよな。
あれだけ面白いって思っていたハイジャンが、苦しさと怖さしかなくてさ。
跳ぶのがこんなに苦しいって思ったのなんて、初めてだったよ」
一番であるためのプレッシャーと闘うってどんな感じ?
プレッシャーに勝つために自分自身と向き合うのって、本人にしか分からない苦しさがあるんだよね。
一番近くにいる人に、弱さを見せられたら楽なのに、その弱さを見せられなかった……
だから、余計に苦しかったんじゃないのかな?