メロンパンにさようなら
「……う、そ…」
信じられなくて、思わず口からそんな言葉が漏れた。
こんなに苦しそうに話している彼が、嘘吐いているはずなんてないって分かってる。
だけど、余りにも衝撃的で信じられない気持ちが大きかった。
「跳べなくなった奴は、用なしってやつ?女って、怖いよな」
そう言って、こっちを向いて自虐的に笑った彼を見てられなくて、思わず彼の手をぎゅっと握った。
なんでそうしたのか、自分でも分からない。
けれど、そうしないと彼が消えてしまいそうな気がしたから。
どこかに行っちゃいそうな気がしたから。
そんな私の気持ちが分かったのか、“大丈夫だ”というように、優しく手を握り返した彼は、また、池を眺めながら話を続けた。