メロンパンにさようなら
「自棄になってたんだよな、あの時。
アイツらのこと忘れようと跳び続けた。何回も何回も。
足痛めるぞって監督が注意するのも聞かず跳んでたら、やっぱりっていうかさ、跳んだ瞬間、足、突っ張れたようになってさ、ここ、腫らしてしまってた」
そういって、手を繋いでいない方の、もう片方の手で自分の右足の内くるぶしの辺りを触った。
「近くの接骨院で捻挫だって言われたけど。けど、1ヶ月経っても痛みは退かないし、別の整形外科行ったら、“有痛性外脛骨”だって言われた。
手術するほどでもないって言われて、鎮痛剤で痛み和らげるだけですんだけど、でも、痛みのある間は跳ぶなって、ドクターストップがかかった。
今は、もう、ほぼ痛みもねぇよ。踏み切る時に痛むくらいかな。
まっ、それも踏み切り足変えれば、なんとかなるしさ」
だから安心しろ。跳べるから
そう言って、握っていた手をそっと離して、そおっと私の頭の上に手を置いて、髪を撫でてくれた。