メロンパンにさようなら


「やっぱ、メロンって変わってるよな」


ふっと何かを思い出したように笑って、私を見た彼の顔は優しくて、穏やかで、先ほどまでの苦しそうな表情は何処にもなかった。




変わってるのかな?

本当なら、“跳んでくれ”って言うんだろう。



そう言わなかったのは、ただ単に思い出してほしかったから。

初めて跳んだ時の楽しい気持ちとか、嬉しい気持ちとか、面白いって思った気持ちとか。


苦しくて辛い気持ちじゃなくて、楽しいって思っていた頃を思い出してほしかったから。


その気持ちを思い出したら、きっと、また…



また、跳んでくれるようなそんな気がしたから。
< 189 / 217 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop