メロンパンにさようなら
「やっぱ、メロンって変わってるよな」
ふっと何かを思い出したように笑って、私を見た彼の顔は優しくて、穏やかで、先ほどまでの苦しそうな表情は何処にもなかった。
変わってるのかな?
本当なら、“跳んでくれ”って言うんだろう。
そう言わなかったのは、ただ単に思い出してほしかったから。
初めて跳んだ時の楽しい気持ちとか、嬉しい気持ちとか、面白いって思った気持ちとか。
苦しくて辛い気持ちじゃなくて、楽しいって思っていた頃を思い出してほしかったから。
その気持ちを思い出したら、きっと、また…
また、跳んでくれるようなそんな気がしたから。