メロンパンにさようなら
「メロン?」
「はい……」
「見ていてほしい。
俺が跳ぶ姿、見ていてくれね?」
真っ直ぐ見つめられて言われたその言葉は、まるで告白のようで、高鳴る胸の鼓動をどうすることも出来なかった。
“うん”
と、言葉にならなくて、こくりと深く頷いた。
「さて、帰るか」
そう言って、穏やかに笑ってすっと私の手を掴んだ彼は、当たり前のように、ぎゅっと手を繋いで歩き始めた。
冷たい彼の手に、私の熱が伝染して、彼の手が温かくなるのを感じた。
斜め後ろから見上げた先輩の表情は、暗くてよく分からないけれど、繋がっている手を握り返しながら、思うんだ。
あなたが、私といて楽なのならば、私は、あなたの傍にいたい。
それが、逃げていることになっているとしても、一緒にいることで楽になるのなら
笑顔になるのなら、一緒にいたい
あなたが跳ぶ、その時は、その姿を見ていたいって。