メロンパンにさようなら

多くの女子生徒がいる後ろの方で、彼女たちの隙間からこっそり彼の姿を見ることにした。


いつ跳ぶんだろう。

もしかして、もう跳んだのかな?



そんなことを思っていると


「もっと近くで見ねぇの?」


背後から声が聞こえ、振り返ると、以前、高見翔を心配していつ跳ぶのか聞いてきた“熱い男”青野ミツルがいた。


「青野、先輩?」

名前をしっかり覚えていなくて、遠慮がちに発した言葉に、


「覚えてくれてたんだ」

と嬉しそうにコクコクと頷いて、

“こっちへおいで”

と彼が手招きするから、つられるように先ほどの混雑した場所から少し離れた場所へ移動した。 



「ここの方がよく見えるから」


と言いながら、フィールド内にいる高見翔に視線を移した青野ミツルに、

「ありがとうございます」

とお礼を言いながら、同じように彼を見た。

< 198 / 217 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop