メロンパンにさようなら
「ありがとな」
そう、青野ミツルが突然お礼の言葉を口にした。
「え?」
なんのことか分からなくて彼を見ると、フィールド内の高見翔から視線を外すことなく、言葉を付け加えた。
「高見が戻って来たの、あんたのおかげだろ?」
って。
「……違いますよ。先輩が決めたことです」
そう
私のおかげでもなんでもない
これは、高見翔が決めていたこと。
陸上を暫く休むと決めた時に、復帰する時期も彼の中では決まっていたこと。
春休み入ったら、陸上に戻るって
ほんの少しだけ早くなっただけ。
私のおかげなんかじゃない。