メロンパンにさようなら
それから暫く青野ミツルとの会話はなく、フィールド内の彼を祈るように見ていた。
「1m90」
突然、青野ミツルが話しかけてきた。
それは、私に話しかけた言葉か、それともただの独り言が分からないくらい小さな言葉だったけれど、
「え?」
と、思わず聞き返した。
「今、跳ぼうとしている高さ。あいつの中学の時の記録。
あいつにとって、あそこから再スタートなんだな」
中学の時の記録からの再スタート。
それは、楽しいと思ったあの時の気持ちから再スタートするってことなのかな?
気持ちもあの時に戻って……
そういうことなのかもしれない。