メロンパンにさようなら


「俺だったら、150くらいから始めるけどな」


そんな彼の様子を見ながら、隣の青野ミツルが独り言のように呟いた。


「絶対跳べるって分かってるとこからスタートするけどな。けど、あいつは違うんだな」

やっぱ、スゲーな


って言った後、

「お〜い! 高見〜!」


フィールド内にいる彼に向かって叫んだんだ。



「彼女も見に来てるぞ〜!」

って。



その声に反応したのか、グラウンドの隅にいる女子生徒たちが、ザワザワと少し賑やかになった。


きっと、“彼女って、誰?”みたいなことを言っているんだろう。



「ちょっと! 彼女じゃないですしっ!」


青野ミツルに強く否定したけれど、

「そうなの?別にそんなこと、どうでもいいじゃん」

って、軽くかわされた。



どうでもよくないんですけど

グラウンドの隅の彼女たちの視線が痛いんですけど。
< 203 / 217 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop