メロンパンにさようなら
彼が、手を挙げると、
“ピッ!”
笛が鳴った。
両手を胸の前で組んで祈るように走り出した彼を見ていた。
跳んで……
心の中で叫んだ時、ふわっと彼の体が空に向かって高く跳んだ。
まるで、空に吸い込まれるように、高く、高く
背中に羽根が生えているように大空に向かって飛んでいる
彼の体がマットにバタンッと落ちた時、バーは、びくとも動いていなくて、その瞬間、
“キャー”
“ワーッ”
と、グラウンド中に大歓声が起こった。
跳んだ……
高見翔が、跳んだんだ。