メロンパンにさようなら
「帰ります。邪魔をして、すみませんでした」
頭を下げて彼女に言い、そのまま顔を上げないままグラウンドの外へ駆け出した。
彼女の顔が見れなかった
彼女の顔を見ると、高見翔と一緒にいた時間を全部否定されそうで、怖かったから。
何もかもなかったことになりそうで、全てを否定されそうで悔しかった。
「ちょっ!」
「メロンっ!」
青野ミツルが引き止めようとした声の中に、彼の、高見翔が“メロン”と呼んだ声が聞こえたような気がしたけれど、振り返らなかった。