メロンパンにさようなら



「どうだった?昨日」


そう言って、昼休みお弁当を広げながら愛が聞いてきた言葉に、


「ちゃんと見てきたよ」

と伝えた。


彼が跳んだってことは、私が言わなくてもあれだけ教室中で騒がれていたんだから、愛は知っていることだったし、今、愛は、そんなことを聞いていないって分かってたから。

愛が知りたいのは、私がちゃんと見てきたかどうか、ってことだから。


だから、昨日、ちゃんと、見に行ったってことを報告した。


「そっか」

そう言って、にっこり笑った愛は、お弁当の中に入っているイチゴを私のお弁当の蓋に置いた。


「ん?」

「見てきたご褒美」


そう言って笑った愛に申し訳なさを感じた。

< 211 / 217 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop