メロンパンにさようなら
何も言い返すことも出来ず、ただ、小さくなっていく彼女の背中を見送ることしか出来なかった。
悔しい……
何も言い返せなかった自分が悔しくて、腹が立つ。
なんで、何も言い返せなかったの?
彼女の言っていることが、的を得てたから?
いつか、高見翔から離れる日が来ることは、自分の中で分かっていた。
彼が陸上部に戻ったら、これまでみたいに一緒にいることも、話すこともなくなるんだって、
そんなこと、覚悟出来ていた。
だけど、それを彼女に言われたことが、何故かすごく悔しかった。
「言われなくても分かってるって」
誰に言うわけでもなく、ポツリと呟いた。