メロンパンにさようなら
翌日
昼休み、愛とお弁当を食べていた時のこと。
「植草さん!」
開けっ放しの教室の扉の前で立っている、同じクラスの男子に名前を呼ばれた。
見ると、彼は、“こっちへ来い”と手招きしていた。
「愛、ちょっと行ってくる」
「いってらっしゃい」
食べかけのお弁当に蓋をして、手招きしている彼の方へ行くと、
「お客」
彼は、そう言って、廊下を指差した。
お客?
誰だろう……
そう思いながら教室の扉から廊下へ顔をひょいっと出すと――…
そこには、もう二度と会いたくないと願っていたはずのあの【彼】が、壁にもたれて、だるそうに立っていた。