メロンパンにさようなら


見直した

見直したという表現、間違っているのかもしれない。


あの人は、我が儘俺様で、いいところなんて、一つもないって思っていた。

氷山の一角だけを見て、彼という人物を決め付けていた。


でも……
違う一面を見せられた。


こうやって、さりげない優しさを見せてくれた。



もう少し、彼を知ってみてもいいかな。


二度と会いたくないって思っていた思い、撤回しよう。



また会いたい?

ううん。

会っても、いいかな。



今は、そう思うんだ。





「あっ!お礼」


すっかり小さくなった背中に向かって、大きな声で


「ありがとう!」


そう叫んだ。


恥ずかしいとか、そんな気持ちなんて一つもなくて、

ただ、今の自分の気持ちを伝えたかったんだ。



寒空の下、私の声は届きましたか?


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